石けんの製造方法
石けん焚きは料理に似ている?
石けんは「焚く」といい、あまり「作る」とはいいません。
科学的なものというよりはどこか料理に似ています。
今はもう研究しつくされているため、
昔のようにいろいろな油脂でさまざまな釜で焚いたことがあるという人は
もう少ないと思います。
「石けんの釜焚きはコックと同じだ。経験がものを言う」
昔は『釜焚き十年』と言われたほど技術と職人的なカンのいる仕事でした。
石けんは使っている油脂の性質がそのまま品物にも出てきます。
しかも天然の油のため、焚くたびに微妙に違いもでてきます。
「あ、今日のご飯、うまく炊けてるね。」という感覚に似ているという人もいます。
これに対して石油は、もとは有機物と言っても、ニュアンスのない均質な物質で、
いわば割り切れる油なので、含みも味も出にくいです。
次に、料理は塩加減といいます。
油脂の苛性ソーダを熱するとアッという間に融合してグリセリンを生みますが、
このグリセリンを塩水で分離させるのが、石けんを焚くときの『塩析』という工程になります。
コック長がシチューをかきまわしながら、なめて香りや煮え具合を見る。
それから塩加減をする。石けんも塩加減が大事です。
塩の入れ具合で不けん化物(けん化されない、つまり石けんになっていないアルカリや脂肪)
を除くことが出来るし、ちょっと脂肪分を残してマイルドに仕上げる芸も可能です。
塩を分解すると苛性ソーダが出来ますが、苛性ソーダが石けんに欠かせないことを考えても、
塩は石けん焚きに重要な役割を果たしているのです。
このように一言で「石けん」といっても、
そのひとつひとつに奥深さがあり、それが石けんの魅力の一つといえます。
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